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2016 Winter

この記事は2016年2月発行の「JBA JOURNAL」に掲載されたものです。内容及びプロフィール等は掲載当時の情報となります。

満足の先にある驚きや喜びを
共有できるパートナーシップを
共に構築していきたい。

塚本拓也氏

塚本拓也氏Hiroya Tsukamoto

塚本拓也税理士事務所
税理士

1973年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。99年税理士試験合格。大学卒業後、デロイト・トウシュ・トーマツ東京事務所(現デロイト・トーマツ税理士法人)および会計事務所系コンサルティングファーム等を経て、総合商社(伊藤忠商事株式会社)にて連結納税および国際税務等のグループタックスプランニング業務並びにM&A、グループ再編等による財務戦略業務に従事。2012年塚本拓也税理士事務所を開設し、上場企業等への税務コンサルティング業務やM&A・事業承継の戦略立案等を行っている。

総合商社勤務から、新しい税理士の働き方を求めて。

―お仕事の仕方を教えてください。

会計業界での勤務を経て、総合商社において税務業務等に従事後に独立し、会計事務所を立ち上げました。現在は大手企業の経理財務部での税務申告や国際税務、税務調査等へのサポートから医療業界をはじめ中堅企業の顧問業務や相続・事業承継等に至るまで幅広くお手伝いをさせていただいております。私自身が一からの事務所立ち上げでしたので、まずは顧問先を増やし、その件数を増やしていくというイメージがもちろんありました。一方で、企業での税務経験も活かしお役に立てるニーズもあり、現在も退職等で人員不足とならざるを得なくなった企業様の経理財務部に週に数日程度訪問し、プロジェクト的にサポートさせていただいております。実際にプロジェクト終了後に経理部長はじめ現場の皆様に喜んでいただき、再びお声がかかり、お電話をいただくようなときは嬉しかったですね。
幸いにも、独立後も私の企業実務経験について、他の上場企業様からもニーズをいただき、お手伝いさせていただけることは大変光栄に感じております。

―そうした働き方をするようになった切っ掛けは?

学生から社会人までラグビーを10年ほど経験してきたこともあるのかもしれませんが、 One for All , All for Oneというように、一匹狼的な働き方というよりも、組織で何かをつくり上げていくといった働き方が自分に向いているものと常々感じていました。学生時代に商社志望でもありましたので、企業内で勤務することを選んだ後、しばらくして税理士登録も抹消してしまいました。「数年後には海外赴任して……」と漠然と思い描いておりましたが、40歳を前にして「自分にはリスクをとってチャレンジしていないことがあるのではないか?」という焦りが芽生えてきました。悩みに悩みましたが、最終的に税理士として独立する道を選びました。企業人は自分の強みだけを活かした業務だけでなく、勤務部署や勤務場所まで様々なローテションを経験し、経営者人材として育っていくことが必須です。私自身その必要性を強く感じながらも、取得した資格をさらに活かし、税務の道で勝負してみたいという気持ちが上回るようになりました。総合商社という多岐なビジネスを展開する大きなフィールドで、非常に貴重な経験を積ませてもらいましたことは、会社や上司、同僚に今でも心から感謝しています。

―そこれまでの経験で印象に残っていることは?

翌日、新聞に載るような大型案件に関わるような貴重な経験をさせていただきました。自分の専門でもある税務上の観点や税引後利益に与える決算インパクトなど、積極的に関われるのが非常にダイナミックで刺激的でした。企業全体のタックスプランニング等の総括的なことも担当させていただきましたので、最適なプランニングをチームの能力を結集して一緒につくりあげていくおもしろさ。そんなことが印象に残っていますね。

チームワークを大事にしながら、自分の柱を活かす

―独立後、最初のお仕事は?

独立して数カ月経った頃、大手メーカー様と契約させていただきました。長期にわたる、主に連結納税等の税務中心のプロジェクトで、今までと業種は違いましたが、会社の意思決定の仕組み、社内調整など、理屈でない部分もわかっておりましたので、契約していただいた会社側も、受け入れやすかったのではないかと思います。全体の窓口として申告から決算まで、1年弱お手伝いさせていただきました。

―ご自身で感じられる一番の強みは?

これまでの経験からなのですが、複雑な内容についてわかりやく伝え、かつ端的にアドバイスできること。また、中堅企業から大規模企業まで幅広く対応できることだと思います。上場企業の場合、もちろん税務も重要ですが、様々な投資案件を抱える総合商社では、まずは適切な決算や開示、内部統制等の遂行が重要となります。税務だけでなく連結決算(US GAAP 含む) といった会計業務を経験したことも大いに勉強になりました。
ただ、本当の強みは、クライアントの皆様に満足してもらえるのは当たり前として、その先にあるビジネスの驚きや喜びを共有できるまでのパートナーシップの構築かもしれません。企業内で勤務していた時代から、その事は常に意識してきました。コミュニケーションをとりながら、誠実に仕事をしていくことを一番大切にしています。

―キャリアづくりで大事なことは?

これまで私も失敗が数多くありますが、自分の柱や強みを持ち、人任せにせず自分でキャリアをつくることが大事だと思います。また、資格は持つものではなく「活かし役立てるもの」ということを今は実感しています。

―税務・会計についての企業のニーズをどう感じられていますか。

社内および社外の立場で、多くの企業の経理財務部と直接実務の現場でお付き合いをさせていただきましたが、近年のビジネスのグローバル化を受け、IFRS対応や国際税務は企業の大きな命題となっており、その分野に強い人材の採用意欲が強くなっているように思います。とりわけ国際税務は、海外進出が当たり前となった中堅企業においても身近な問題になっております。
一方で、企業の経理財務部門は決算、四半期対応、内部統制からIFRS対応や税務対応まで対応すべき業務が多岐にわたっており、これまで実際にお手伝いをさせていただいた企業様の人手不足を肌で感じてきました。これからは人材の質の向上がテーマとなっていくと思いますので、そのようなニーズに合わせて、決算業務の支援のみならず、人材育成の研修や勉強会の講師まで幅広く、それぞれの企業のニーズに応じたオーダーメードの幅広いサービスでサポートさせていただきたいと思っています。

―本日は、ありがとうございました。